記憶に残るブランドストーリーの書き方
受け入れられなかった問題を見つけ、四つの要素で組み立て、三つの長さに切り分ける。あらゆる場所で使える、記憶に残るブランドストーリーの作り方。
ブランドストーリーがロゴよりも働く理由
多くの小さなブランドは、配色を決めるのに何週間もかけ、自分たちが何を大切にしているのかを決めるのに十分ほどしかかけません。そして、自分たちの投稿がほかの誰の投稿とも入れ替え可能に見えることに首をかしげます。ロゴはあなたを見分けやすくします。ブランドストーリーは、あなたを覚える価値のある存在にします。
ブランドストーリーとは、なぜあなたの事業が存在し、誰のためにあり、あなたがいることで何が変わるのかを、短く、正直に、何度でも語れる形にしたものです。会社の沿革ではありません。「革新的」「顧客第一」といった言葉で埋まった理念でもありません。満足したお客さまがコーヒーを飲みながら友人に話すであろう、あなたの事業の姿を、ウェブサイトでも、商談でも、ポッドキャストの取材でも、十五秒の動画でも同じように語れるように引き締めたものです。
これを書き出しておくと、たくさんの仕事が一気に楽になります。キャプションはゼロから書き始める必要がなくなります。新しく加わった仲間も同じ声で書けます。自分と何の関係もないトレンドを追いかけなくなります。どれが自分に合うのかを、ようやく見分けられるようになるからです。
受け入れられなかった問題から始める
人の注意をつかむ物語は必ず、創業者の経歴ではなく、緊張から始まります。ですから自分について一行でも書く前に、あなたが受け入れられなかった問題を書き出してください。
始める前、自分の身の回りで何が壊れていたかを考えてみましょう。製品の作りが粗く、誰もが肩をすくめていたのかもしれません。サービスが高くて冷たかったのかもしれません。ネットで手に入る助言が、それを必要としている人より百倍大きな会社向けに書かれていたのかもしれません。それを、業界用語ではなくお客さまが使う言葉で、平易な一文にまとめてください。
次に、それを何とかしようと決めた瞬間を書きます。本物の物語には日付があり、場所があり、具体的ないら立ちがあります。「デザインをもっと身近にしたかった」はスローガンです。「四か月と貯金のほとんどを、誰にも見つけてもらえないウェブサイトに使い、小さな店が大企業向けの道具を売りつけられていると気づいた」は物語です。具体性が物語を本当らしくし、その本当らしさが記憶に残します。
どのブランドストーリーにも必要な四つの要素
いくらでも複雑にできますが、その必要はありません。四つの要素があれば、ほとんどのブランドは支えられます。
1. 以前の世界
一文か二文で場面を描きます。あなたの解決策が存在しなかったころ、お客さまの毎日はどんなものでしたか。自分の野心ではなく、相手のいら立ちに焦点を当ててください。多くのブランドが飛ばしてしまう部分であり、読み手が身を乗り出す部分でもあります。そこに自分の姿を見つけるからです。
2. 転機
すべてが始まった決断、発見、あるいは頑固な拒否です。辞めた仕事かもしれませんし、台所で作った試作品かもしれませんし、自分のために作ったのに二十人から貸してほしいと言われた表計算かもしれません。一段落で十分です。
3. あなたが起こした変化
ここでようやく、実際に作ったもの、そして何よりそれによって何が違うのかを語れます。機能の列挙は我慢しましょう。失われる時間が減った、当て推量が減った、二月でも客足の絶えない店になった、月曜が憂うつでなくなった。そんな具体的な結果で描いてください。
4. 主人公はお客さま
ブランドストーリーで最もよくある失敗は、自分を主人公にしてしまうことです。主人公はあなたではありません。お客さまです。あなたは先に道を歩き、どこに穴があるかを知っている案内役です。読み手を中心に置いて締めくくりましょう。いま何ができるのか、そのためにあなたが何をするのか。
下手な初稿を一気に書く
三十分のタイマーをかけ、わざと下手に全部書いてください。文を直すために手を止めないこと。類語辞典を開かないこと。目的は、人が話しているように聞こえるうちに、素材を外に出すことです。
友人に物語を話しているところを録音し、あとで文字に起こすのも有効です。話した版は書いた版よりほぼ必ず良くなります。話すときは、企業向けの水増しを自然と削るからです。「市場機会を特定した」ではなく「もううんざりだった」と言います。その言い回しは残してください。あなたの声の指紋です。
そのあと一晩寝かせます。書いたその日に自分の文章を直すのは、スプーンを口に入れたまま味見をするようなものです。
三つの長さに切り分ける
一つの物語を、三つのサイズに。ここが、きれいな段落を働く資産に変える工程です。
- 一文。 誰を助け、何が変わるのかを説明する十五〜二十五語。SNSのプロフィール、メール署名、提案の書き出しに使います。
- 一段落。 おおよそ八十〜百二十語。会社紹介の欄、ポッドキャストでの自己紹介、協業のメールに貼り付ける文章です。
- 完全版。 三百〜六百語。会社紹介ページ、プレスキット、新しい仲間や外部パートナー向けの資料に使います。
長い版を先に書き、そこから短い版を削り出してください。一文をふくらませて長文にしようとしないこと。三つとも同じ文書にまとめておけば、締め切りに追われて誰かが作り直す必要もなくなります。
声に出して試す
画面の上でしか機能しないブランドストーリーは、まだ半分しか完成していません。三つの版をすべて声に出して読んでください。息が続かないなら、その文は長すぎます。生身の人に言うのが恥ずかしい表現があれば削ってください。その恥ずかしさは、その一行が十分に本当ではないと告げる直感です。
次に三人に試します。今のお客さま、あなたを知らない人、そして同僚です。数分後にそれぞれへ、内容を口に出して繰り返してもらってください。その語り直しに残ったものが、本当に定着する部分であり、どこでも先頭に置くべき部分です。
物語をあらゆる場所で働かせる
会社紹介ページにしか置かれていない物語は、良い午後を無駄にしただけです。
- サイトで。 会社紹介ページは創業年ではなく、以前の世界の緊張から始めましょう。一文版はトップページの見出し周りに置きます。
- SNSの投稿で。 四つの要素をそれぞれ一本の投稿にします。転機は短い動画に向きます。以前の世界は問題を扱うカルーセルになります。主人公としてのお客さまは事例紹介になります。
- 営業とサポートで。 見込み客の質問に答える全員に一段落版を渡し、どこで出会っても約束が同じであるようにします。
- 採用で。 物語に共感して応募する人は、仕事の意味をすでに理解した状態で来ます。
五つの別々のアプリから、五つの別々の気分で投稿していると、まさにこの反復が失われます。物語とトーンとビジュアルの決まりを一か所にまとめておくこと。それが BrandFleet の存在理由です。ブランドキットと声がカレンダーの隣にあるので、下書きされ、予約され、公開されるすべての文章が、はっきりとあなたのものであり続けます。
成長しても物語を正直に保つ
物語は記念碑ではありません。半年から一年ごとに見直し、本当の変化があったときには必ず見直してください。新しい読者層、新しい商品、支える相手の変化です。
書き直しどきを告げる兆候が二つあります。一つは、もう本当だと感じられない部分を自分が飛ばしていると気づいたとき。もう一つは、お客さまがあなたを、物語のどこにもない言葉で説明しているとき。その差はたいてい、相手が正しく、こちらの文章が古びている合図です。相手の言葉を借りましょう。
良い物語を平板にしてしまう失敗
- 創業年から始める。社外の人はまだ関心を持っていません。
- 代償を払っていない価値を掲げる。「持続可能性」に何のコストも払っていないなら、書かないこと。
- 読み手はお客さまなのに、投資家に向けて書く。
- 具体的な情景一つで足りるところに、抽象名詞を三つ並べる。
- 一度話して全員に届いたと思い込む。読者の大半はあなたの投稿のごく一部しか見ていません。繰り返しは無駄ではありません。
次の一歩
今週、九十分を確保してください。三十分で下手に書き、三十分で三つの長さに切り分け、三十分で三人に試す。これで一つの午後にブランドストーリーができあがり、今年追いかけるどのトレンドよりも長く残ります。
書き上がったら、チーム全員が書くときに参照できる場所に置いてください。BrandFleetを始めると、すでにあなたらしく響く物語の上に、コンテンツを組み立てられます。